IT技術が発達した現代では、日々の買い物も現金ではなく、電子マネーや、仮想通貨で取引することが多くなりました。両者はどちらも「実態を持たないお金」でありますが、実際にはまったく異なる性質を持っています。では一体どこが違うのでしょうか？そこで今回の記事では、電子マネーと仮想通貨の違いについて解説します。

電子マネーのメリット・デメリット

スーパーやコンビニはもちろん、電車やバスにも使えて何かと便利な電子マネーですが、メリット・デメリットにはどのようなものがあるのでしょうか？ここでは主なメリットやデメリットを解説します。

電子マネーのメリット

電子マネーのメリットは“現金を持ち歩く必要がなくなる”“ポイント還元がある”“取引が短時間で済む” “加盟店が多い”といった点です。

電子マネーはクレジットカードのように暗証番号を入力したり、サインしたりする必要がありません。機器をかざすだけで瞬時に決済できるので、決済がとてもスムーズも行えます。

また電子マネーを利用するとポイント還元もあるので、結果的に現金で払うよりも安く買えるメリットもあります。それに飲食店や大型商業施設など、さまざまな店舗が加盟店として参加しているので、どのお店に行っても問題なく利用できます。

最後に現金を持ち歩く必要がなくなることから、紛失や盗難を防止する効果にもつながります。

電子マネーのデメリット

電子マネーのデメリットとしては、“チャージする必要がある”“インターネット障害に弱い”点が挙げられます。

電子マネーには事前に現金をチャージ（入金）することで利用できる「プリペイド式」と、利用後に金融機関の口座から引き落とされる「ポストペイ式」の2種類の利用方法があります。

プリペイド式の場合だと、事前にコンビニなどでチャージをしなければ利用できないので、この点が手間になります。一方でポストペイ式はチャージする必要はないのですが、いくらでも利用できるため、気づかぬ内にお金を使い過ぎてしまう恐れがあります。

また電子マネーにはインターネット障害が起きると復旧を待つ他どうすることもできません。そのため、電子マネーに頼り切っていると、いざという時に思わぬ被害に遭う恐れもあります。

仮想通貨のメリット・デメリット

仮想通貨は2009年に初めて登場して以来、現在では5,000種類もの銘柄に、時価総額90兆円を超えるほどの大規模市場に成長し、今なお世界中に大きな影響を与えています。ここではそんな仮想通貨のメリット、デメリットを解説します。

仮想通貨のメリット

仮想通貨のメリットは、“世界中で利用可能”“国際送金が速く、手数料も安い”“投資対象になる”といった点です。

世界には円やドル、ユーロ、人民元などさまざまな通貨が存在しますが、仮想通貨はインターネット上の共通通貨なので、わざわざ両替する必要もありません。それに国や銀行にコントロールされているわけでもないので、手数料も安く、素早く送金できるのです。

また株式と同じように価格変動によって儲けることもできるため、投資対象にもなります。それに仮想通貨は24時間365日取引が行えるので、自分の好きな時に取引が行えるのも仮想通貨もメリットであります。

仮想通貨のデメリット

仮想通貨のデメリットは、“ハッキングされる可能性がある”“価格変動が非常に大きいので、通貨としては利用しにくい”“使える店舗が少ない”といった点が挙げられます。

ハッキングの例でいえば、2018年に起きた580億円相当の仮想通貨「NEM」の流出事件、170臆円相当の仮想通貨「アップビット（Upbit）」のハッキング事件です。最近はセキュリティも強化されましたが、犯罪者からすると現金を持って逃げるよりも、実態のない仮想通貨を狙う方が、リスクが低いので、今後もハッキングされる可能性は大いにあり得るでしょう。

また仮想通貨は価格変動が非常に大きいことで知られています。そのため、通貨として使用するには信用に欠ける部分があります。それに電子マネーのようにポイント還元もなく、加盟店もほとんどないのが現状なので、日常で使用するなら電子マネーの方が圧倒的に便利です。

電子マネーと仮想通貨の具体的な違い

電子マネーも仮想通貨も、インターネット上のお金という点では共通していますが、その仕組みは大きく異なっています。この項目では具体的な違いについていくつか解説します。

発行元が違う

1つ目の違いは、発行元が違う点です。電子マネーは企業や鉄道会社が発行しますが、仮想通貨には発行元となる組織が存在しません。代わりにマイニング（複雑な計算による取引の追記作業）と呼ばれる作業によって新たに新規発行されるのです。

価値が保証されたお金であるかどうか

価値が保証されたお金であるかどうか、という点も違います。たとえば電子マネーで1,000円チャージすれば、必ず1,000円分は使えます。

なぜなら電子マネーは国が発行したお金を電子データに移し替えただけに過ぎす、元を辿れば円やドルといった、「国のお金」だからです。こうした国家による価値が保証されたお金のことを「法定通貨」と呼びます。

一方仮想通貨は国が発行したお金ではないので、価値が保証されていません。そのため、仮に仮想通貨で1,000円分チャージしたからといって、いつでも1,000円分の価値が保証されているわけではありません。仮想通貨の価値は、日々の需要や取引状況によって価値が大きく変動しているのです。

決済できる範囲が違う

電子マネーと仮想通貨では、決済できる範囲にも違いがあります。電子マネーで決済できる場所は、加盟しているスーパーやコンビニ、他にも多くの飲食店や家電量販店で決済できます。

一方仮想通貨が利用できる場所は多くはありません。一部の家電量販店では利用できるところもありますが、それでも取り扱い店舗は東京・大阪・名古屋といった大都市圏が大半です。

電子マネーと仮想通貨の違いをまとめると、“発行元”“価値の変動率”“利用できる範囲”が違います。現状、日常に使用するならば圧倒的に電子マネーが有利です。たとえばPayPayは加盟店340万店を超えたのに対し、ビットコインの加盟店は26万店だそうです。

ただ仮想通貨は投資で利益が得られるメリットがあるので、実用と投資の両方を考えるならばよい選択肢になるでしょう。

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